中小企業倒産防止共済について | 大阪市の創業支援ならコンフロント税理士法人(大阪市北区)(旧衣笠・いまい合同税理士事務所)
中小企業庁が取り扱う中小企業倒産防止共済の掛金は全額、経費(損金)となります。制度の趣旨や申し込み等の諸手続き等は別途ご案内させていただいておりますが、今回は、会計処理について記載したいと思います。
この中小企業倒産防止共済の掛金は、二つの会計処理があります。一つ目は、保険料等と同じく損益計算書の費用にて処理する方法と、もう一つが、貸借対照表に資産として計上する方法となります。この取り扱いは他ではない点となります。
税務上は、会計上の費用=税務上の費用(損金)となるケースがほとんどです。これは、税法特有の考え方の損金経理(会計上の費用 = 税務上の損金)と言われるものです。ただこの中小企業倒産防止共済の掛金は会計上の費用つまり損金経理が要件ではなく、会計上、費用として処理していようが、貸借対照表に資産として計上していようが、掛金を経費(損金)とするための要件は、法人税の申告書に「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」(別表10-6)に記載事項を記載し添付する必要があります。
では、この二つの会計処理がある中小企業倒産防止共済の掛金は、費用処理をした場合と貸借対照表に資産計上した場合とではどんな相違点があるのでしょうか。
それは会社の決算書に表れます。会計上、費用処理した場合は決算書上では費用となりますので会社の利益がその掛金分だけ減少します。一方、会計上、貸借対照表に資産として計上した場合は、決算書の損益計算書は費用として処理していない分、利益は多くなります。
どちらの会計処理を選択しようと法人税等の納税額は同じですが、会計上で費用処理していると、いわゆるこの掛金は簿外資産となります。一方、貸借対照表へ資産計上していると貯蓄性の資産として決算書上、資産として表示されます。どちらの処理もこれが正しい処理とは言い難いですが、対金融機関向けの決算書では、資産計上するほうが会社が保有している資産が多くみえ印象がいいと思います。
中小企業倒産防止共済に加入されている企業は多いですが、皆さんの会社の決算書ではどのような処理をされているでしょうか。
貸借対象表に計上した場合は、純資産の部も費用として処理していない分、増額しますので、繰越利益剰余金という内部留保額も増え、今後、増資などを検討する際に活用できたりします。