決算報告書の重要性について | 大阪市の創業支援ならコンフロント税理士法人(大阪市北区)(旧衣笠・いまい合同税理士事務所)
今回は、中小零細企業における決算報告書と勘定科目内訳明細書の重要性について書きたいと思います。
会社は、永遠に存続するということを前提に考えますと、会社に最も必要なものは「現預金」です。現預金が潤沢な会社が色々な意味で一番強いと言っていいと思います。これについては、誰が何と言おうと揺るがない事実です。
では、合法的に現預金を増やすにはどうしたらいいでしょう?日々の営業で考えるなら、方法として「収入を増やす」か「支出を減らす」しかありません。しかし、これは口で言うほど簡単なものではありません。収入を増やすためには、仕入が必要でしょう。優秀な人材の確保も必要でしょう。新しい事業を行うための営業費用も必要でしょう。営業用車両も必要かもしません。ちょっと背伸びしたテナントも必要かもしれません。
つまり、常に、現預金を増やすための現預金が必要となります。そこで、考えられる方法が大きく分けて2つあります。
誰かに出資をしてもらうか、誰かから借りるかです。とても革新的で魅力が溢れているような事業なら、エンジェルからの出資もありえるでしょう。しかし、一般的に中小零細企業ではそう簡単ではありません。結論として銀行借入を模索するしかありません。銀行借入をするために重要な書類が、決算報告書と勘定科目内訳明細書になります。
決算報告書からは、その会社の最近の頑張りと過去の頑張りを知ることができます。勘定科目内訳明細書には、お付き合いをしている会社や頑張りの証拠が示されています。銀行は、これら書面に頼って審査をするしかありません。本来は、書面には出ない会社の魅力を踏まえて審査をすべきだと思いますし、実際に金融庁は定量ではなく定性を重視すべきという方向に舵を切っています。しかし、理想通りには進んでいないというのが実情です。銀行員の担当件数やノルマを考えますと、1件にかける時間はかなり限られておりやむを得ないと思います。
結局、会社側から言いますと、作成書面の中で、会社の良さをいかにアピールできているか?逆に言いますといかにうまく弱点を出していないか?が重要になってきます。中小零細企業における、決算報告書や勘定科目内訳明細書は誰が作成しても同じというものではなく、合法的に工夫すべきことは沢山あります。銀行担当者の本音も、「借入をしたいなら審査がスムーズに進むような書類を作成して欲しい」だと思います。それを十分に考慮して決算書類を作成しているか否かで、会社の運命は変わると言ってもいいと思います。
「経理周りのことは、会計事務所に任せているので・・・」という会社が一番危険です。一般的に会計事務所の作成する決算報告書は、税法を基本としたものです。いわゆる税務会計と呼ばれるものです。これはこれで一つ重要な考え方ではありますが、それは会社を永遠に存続させることを目的とした場合、間違った実力を示す決算報告書かもしれません。一般的に会社経営者の方々の興味は、税金や税務調査に向いているため、税法中心で物事が運ぶ傾向にあります。会社の現預金が尽きない限り、会社は永遠に存続します。つまり、会社が意識すべきは銀行とのお付き合いであり、決して税務調査を受けないことや納税を回避することではありません。「納税をしたくないから赤字」「税務調査を受けたくないから赤字」は、自分の首を自分で絞めている状態だと思います。
「何十年この考えでやってきて、会社が続いているからこれで大丈夫だ!」と言われる経営者の方もおられますが、そのような会社は結局、創業何十年で終わるでしょう。永遠というレベルには至らないのではないでしょうか。これでは、経営者として無責任だと思います。
次に、借入について少し述べたいと思います。借入と聞くと、消費者金融やヤミ金を思い出されるのか、とてもアレルギーをお持ちの方もいらっしゃいます。「債務〇億円で倒産」などという記事を目にすることも影響しているのかもしれません。ただ、良く考えて下さい。倒産した原因は、借入が膨らんだからではありません。借入をして倒産する会社は、借入をしていなかったとしても倒産するでしょう。つまり、借入を行った行為や借入額が多かったことが問題ではなく、その借り入れたお金の使い方に問題があったと言えます。そもそも本業が長期に渡って不振に陥った場合は、いずれ残念な結果になります。これは、借入のせいではありません。個人についても同じことが言えるでしょう。「借入が膨らんで自殺」みたいなニュースは大変ショッキングではありますが、これも借入のせいではありません。借入をしたお金をパチンコや競馬などにつぎ込んだことが原因です。あくまでも、例え話ですが・・・。
会社を永遠に続けていく上で、借入はなくてはならないものです。銀行とのお付き合いは、命綱です。しっかり利益を出して、適正に納税を行い、安定的に笑顔で銀行とお付き合いをする。会社経営はこれに尽きるのではないでしょうか。言葉は少々乱暴かもしれませんが、小さな節税で頭を捻るより、コンスタントに借入を成功させる方が間違いなく会社の発展に繋がります。