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キャリアアップ助成金7コースの詳細を解説

 

短時間労働者、派遣労働者など非正規雇用の労働者のキャリアアップを促進する事業者に対し「助成金を支給」する制度「キャリアアップ助成金」には、7つのコースがあります。これらコースの詳細について解説します。

 

 

全コース共通の要件とは?

まずは、大前提すべてのキャリアアップ助成金を受給するために満たしておかなければならない要件と上乗せするための要件を把握しましょう。

 

 

<支給対象事業主>
○ 雇用保険適用事業所の事業主であること

○ 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること

○ 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働 局長の受給資格の認定を受けた

※事業主であること

○ 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること

○ キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

※この助成金でいう事業主には、民間の事業者のほか、民法上の公益法人、特定非営利活動促進法上の特定非営 利活動法人(いわゆるNPO法人)、医療法上の医療法人、社会福祉法上の社会福祉法人なども含まれます。

(厚生労働省のパンフレット参照)

 

 

<キャリアアップ計画の提出>
キャリアアップ計画の提出が必要です。
キャリアアップ計画とは、有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、今後のおおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取り組み)をあらかじめ記載するものです。

 

ただし、提出したキャリアアップ計画は随時変更可能です。その際には、管轄労働局に「キャリアアップ計画変更届」を提出しましょう。

 

 

<生産性要件(上乗せ制度)>
生産性要件とは、今後の人口減少において懸念される労働力不足を補うため、企業における生産性向上の取組みを支援する目的で、効果があった事業主に対して助成金または助成率を割増する制度です。

 

・生産性の要件
助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、
① その3年度前に比べて6%以上伸びていること
または、
②その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること(※)

 

※ この場合、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていること
「事業性評価」とは、都道府県労働局が、助成金を申請する事業所の承諾を得た上で、 事業の見立て(市場での成長性、競争優位性、事業特性及び経営資源・強み等)を与信取引等のある金融機関に照会し、その回答を参考にして、割増支給の判断を行うものです。 なお、「与信取引」とは、金融機関から借入を受けている場合の他に、借入残高がなくとも、借入限度額(借入の際の設定上限金額)が設定されている場合等も該当します。 キャリアアップ助成金においては、取組実施日が平成29年5月1日以降の場合に限ります。

 

・生産性の計算方法
生産性=付加価値(※)÷雇用保険被保険者数(日雇労働被保険者や短期雇用特例被保険者を除く。)

 

※ 付加価値とは、企業の場合、営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課、の式で算定されます。
(企業会計基準を用いることができない事業所については、 管轄の都道府県労働局または、最寄りのハローワークにお問い合わせください。)

(厚生労働省のパンフレット参照)

 

 

キャリアアップ助成金は全部で7コース

※()内は大手企業の場合
※<>内は生産性の向上が認められる場合

 

 

<①正社員化コース>
有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成されます。
中小企業事業主の場合、最大60万円が支給されます。

 

・支給額
① 有期 → 正規(正社員):1人当たり57万円<72万円>
(42万7,500円<54万円>)
② 有期 → 無期:1人当たり28万5,000円<36万円>
(21万3,750円<27万円>)
③ 無期 → 正規(正社員):1人当たり28万5,000円<36万円>
(21万3,750円<27万円>)

①~③合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人までです。
多様な正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員および短時間正社員)も正社員に含まれます。

 

 

<②賃金規定等改定コース>
すべてまたは一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に助成

*すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合*
対象労働者数
・ 1人~3人:1事業所当たり95,000円<12万円>
(71,250円<9万円>)
・ 4人~6人:1事業所当たり19万円<24万円>
(14万2,500円<18万円>)
・ 7人~10人:1事業所当たり28万5,000円<36万円>
(19万円<24万円>)
・ 11人~100人:1人当たり28,500円<36,000円>
(19,000円<24,000円>)

 

*一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合 *
対象労働者数
・ 1人~3人:1事業所当たり47,500円<6万円>
(3,250円<42,000円>)
・ 4人~6人:1事業所当たり95,000円<12万円>
(71,250円<9万円>)
・ 7人~10人:1事業所当たり14万2,500円<18万円>
(95,000円<12万円>)
・ 11人~100人:1人当たり14,250円<18,000円>
(9,500円<12,000円>)

1年度1事業所当たり100人まで、申請回数は1年度1回のみとなっています。

 

 

<③健康診断制度コース>
有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した 場合に助成

・ 1事業所当たり38万円<48万円>
(28万5,000円<36万円>)

1事業所当たり1回のみとなっています。

 

 

<④賃金規定等共通化コース>
有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を作成し、適用した 場合に助成

・ 1事業所当たり57万円<72万円>
(42万7,500円<54万円>)

※共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額を加算
・ 対象労働者1人当たり2万円<24,000円>
(15,000円<18,000円>)

1事業所当たり1回のみ、上限20人までとなっています。

 

 

<⑤諸手当制度共通化コース>
有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合に助成

・ 1事業所当たり38万円<48万円>
(28万5,000円<36万円>)

1事業所当たり1回のみとなっています。

 

※共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額を加算 (加算の対象となる手当は、対象労働者が最も多い手当1つとなります。)
・ 対象労働者1人当たり15,000円<18,000円>
(12,000円<14,000円>)

上限は20人までとなっています。

 

※同時に共通化した諸手当(2つ目以降)について、助成額を加算 (原則、同時に支給した諸手当について、加算の対象となります。)
・ 諸手当の数1つ当たり16万円<19.2万円>(12万円<14.4万円>)

上限は10手当までとなっています。

 

 

<⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース>
労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置により、有期契約労働者等を新たに被保険者とし、基本給を増額した場合に助成

支給額は以下の増額の%に応じて異なります。
・ 3%以上5%未満 :1人当たり19,000円<24,000円>
(14,250円<18,000円>)
・ 5%以上7%未満 :1人当たり38,000円<48,000円>
(28,500円<36,000円>)
・ 7%以上10%未満 :1人当たり47,500円<60,000円>
(33,250円<42,000円>)
・ 10%以上14%未満 :1人当たり76,000円<96,000円>
(57,000円<72,000円>)
・ 14%以上 :1人当たり95,000円<12万円>
(71,250円<90,000円>)

1事業所当たり1回のみ、支給申請上限人数は30人までとなっています。

 

 

<⑦短時間労働者労働時間延長コース>
短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成

*短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合

・ 1人当たり19万円<24万円>
(14万2,500円<18万円>)
※平成32年3月31日までの間は支給額を増額。

 

*週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に適用させることに加えて、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施した場合
※平成32年3月31日までの暫定措置。
支給額は以下の延長時間に応じて異なります。
・ 1時間以上2時間未満:1人当たり38,000円<48,000円>
(28,500円<36,000円>)
・ 2時間以上3時間未満:1人当たり76,000円<96,000円>
(57,000円<72,000円>)
・ 3時間以上4時間未満:1人当たり11万4,000円<14万4,000円>
(85,500円<10万8,000円>)
・ 4時間以上5時間未満:1人当たり15万2,000円<19万2,000円>
(11万4,000円<14万4,000円>)

1年度1事業所当たり支給申請上限人数は15人までとなっています。

(厚生労働省のパンフレット参照)

 

 

キャリアアップ助成金の支給申請のポイント

支給申請には、支給申請期間内(各コースによる)に、支給申請書および添付書類を事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します
支給申請書の提出は、ハローワークを通じて提出できる場合もあります。

 

<ポイント①書類を揃える>
書類を不足なく揃える必要があります。チェックリストの無料ダウンロードもできますので、利用すると良いでしょう。

<ポイント②期限を守る>
提出期限を過ぎてしまってはどうしようもありません。必ず申請するコースの期限を確認しておきましょう。

<ポイント③手順を守る>
各種コースによって、実施の手順が決まっています。それに沿って実行していなければ助成金を受け取れない可能性があるので注意しましょう。

 

一例として、正社員化コース申請の流れをご紹介します。
(厚生労働省発行のパンフレットから引用)

 

①キャリアアップ計画の作成・提出
転換・直接雇用を実施する日までに提出する必要があります。
申請状況により、審査に時間を要する場合があるので、早め早めに準備しましょう。

雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意見を聴いて「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長の認定を受けます。

 

② 就業規則、労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規定
労働基準監督署に改訂後の就業規則を届け出る必要があります。
10人未満の事業所は労働基準監督署への届出の代わりに、労働組合等の労働者代表者(事業主と有期契約労働者等を含む事業所の全ての労働者の代表)の署名及び押印による申立書(例示様式)でも可能です。

 

③転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施

 

④正規雇用等への転換・直接雇用の実施
転換後の雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付する必要があります。 また、転換後に適用される就業規則等に規定している労働条件・待遇にする必要があります。
※ 転換前6か月間の賃金と転換6か月の賃金を比較して5%以上増額している必要があります。

 

⑤転換後6か月分の賃金を支給・支給申請
転換後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請する必要があります。賃金には時間外手当等も含みます。

 

⑥審査、支給決定

 

 

最後に

詳しくは厚生労働省HP からダウンロードできる「キャリアアップ助成金パンフレット」に記載されています。
間違った解釈で進めてしまっては、助成金が受給できなくなるかもしれません。パンフレットを読んでもわからないことは担当窓口に問い合わせて、確実に受給ができるように進めてくださいね。
それでも難しい場合は、専門家に相談することをおすすめします。

 


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