個人成りは後退?そうでもないですよ! | 大阪市の創業支援ならコンフロント税理士法人(大阪市北区)(旧衣笠・いまい合同税理士事務所)

個人成りは後退?そうでもないですよ!

世の中の税理士さんは、法人成り(個人事業を会社組織にすること)は熱心に説明して、推奨しますが、会社組織を個人事業に戻す(個人成り)提案は熱心に行いません。といいますか、恐らく個人事業に戻すこと自体念頭に入れていないのかもしれません。ただ、個人成りにメリットがないわけでもありません。むしろ、法人で事業を続けていくことよりもメリットを享受できる可能性も大いにあります。今回は、あえて個人成りについて触れてみたいと思います。

 

下記表1は、個人成りを検討する上でのメリット・デメリットを纏めたものです。重要性は関係なく、順不同で考えられるだけ列挙してみました。会社として数年赤字が続いており、事業承継も考えていないが、毎日の張り合いのためにもまだまだ事業を続けたいというような方は、特に個人成りを検討された方がいいと思います。とはいえ、長年続けてこられた会社組織をなくすことについて、なんとも言い難い気持ちになるかもしれません。しかし、大切なことは会社組織の維持ではなく、あくまでも事業の維持です。会社組織を捨て、個人事業として事業を続けていくことは、単なる一つの選択肢に過ぎないと思います。そして、思いのほか事業が大きくなれば、再度、会社組織にすればいいだけのことです。

 

 

表1 個人成りのメリット・デメリット

 

個人成りのメリット 個人成りのデメリット
交際費の制限がない 社会的信用が低い
他の所得との通算が可能 資金調達(借入)時は不利
青色申告特別控除がある 事業主への給与支給がない
社会保険への加入が任意(従業員5名未満) 事業主や青色専従者に退職金を支払えない
登記不要(開業届のみ) 決算期が選べない
消費税免税事業者になる 従業員を集めにくい
法人地方税の均等割の支払いがなくなる  
会社組織より節税になるケースもある  
税務調査を受ける可能性が低くなる(国税審議会資料より判断)  
一般的に税理士への顧問料が安くなる  
役員借入金を処理できる可能性がある(相続対策に繋がる)  
法人組織の廃業に伴う退職金を支払える  

 

勿論、個人成りにする際の注意点はあります。法人で借入やリースをされている場合、それを個人に引き継げるかは交渉次第になると思います。その他、事業に許認可が絡む場合や不動産の所有者関係で相続対策をしている場合も注意が必要です。また、従業員がいる場合は、一定の理解を得る必要もあります。

 

個人成りを決断した後は、法人を解散させるかもしくは休眠させるかの検討もあります。解散をさせることにも費用はかかります。その場合は、会社をそのまま置いておく(休眠)という選択肢もあります。

 

今回、個人成りのメリット、デメリットについて項目ごとの詳細な説明は省略しましたが、個人成りを検討する余地が十分にあるということは伝わったのではないでしょうか。また、メリットを見てもらえれば、世の中の税理士さんが積極的に個人成りを提案しない理由も何となくご理解頂けたのではないでしょうか。しかし、税理士という職業は、営利ではありますが、ある程度私利私欲を捨てないと正しい判断、正しい提案、正しい戦略からかけ離れていくのではないかと思います。個人成りは、決して後ろ向きではありません。事業を続けていくための戦略の1つです。我々は、この戦略が正しいと判断すれば、個人成りをご提案させて頂きます。

 


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