【書籍】財務健全化、について | 大阪市の創業支援ならコンフロント税理士法人(大阪市北区)(旧衣笠・いまい合同税理士事務所)
今回は、すべての中小企業経営者に熟読して頂きたい書籍を紹介します。公認会計士の秋吉先生の「財務健全化」とういう書籍です。一人の工務店の社長を主役に、物語形式で進んでいきます。物語形式であるため、経理や会計に精通していない経営者の方もスラスラと読むことができるのではないかと思います。ここで簡単にストーリーを紹介します。
【本のストーリー】
内装業を中心とする工務店を経営する社長の孤軍奮闘物語です。個人事業も経て、42歳で法人成りをしたところからスタートします。性格は極めて真面目で、仕事に対しての取り組みも非常に評価をされ、業績は順調に伸びていきます。しかし、ある時、学生時代の先輩である不動産業者の経営者に出会い、すべての歯車が狂います。その先輩からのアドバイスは、「何に使われているか分からない納税など馬鹿らしい」「なるべく経費を使って最大限節税すべき」というものでした。真面目な社長は、他人の言うことも鵜呑みする性格であり、ここから、夜な夜な呑みにいくようになり、何かと生活が派手になってしまいます。ここから、会社は倒産寸前まで転がり落ちます。下記のような流れで転がり落ちていきます。
利益を出さないように、思い切って経費を使う。
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利益は減り、納税は以前より少額になる。
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節税効果より、経費による出費の方が多いため、会社の現預金は減っていく。
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決算上の利益も現預金も少額であるため、メインバンクが引いていく。
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運転資金が不足し、大きな受注を断らざるを得ない。(一般的に支払が先行するため)
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少ない運転資金で、何とか経営を維持していく。
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予定外の得意先の倒産により、未回収が発生し、倒産寸前までいく。(銀行の支援はない)
この後、専門家のアドバイスにより、何とか持ち直すことに成功しました。しかし、やはり利益を出して納税することについて疑問を持ったため、再度転落していきます。このようなことの繰り返しで、何とか会社は再生されたのですが、次は事業承継の問題が発生します。しっかり利益を出して、しっかり納税することで株価が高騰したために株を安易に移せないという問題が発生します。しかし、その問題は税制により解決可能なものでした。概ね、このようなどこにでもありそうなストーリーを基に、経営に大切なことを多く盛り込んだ書籍です。
【まとめ】
中小企業の経営者は、他の経営者の助言に振り回されることが多く、大体その助言は間違っています。高級時計をはめ、高級スーツを身にまとい夜の街を闊歩することで成功者であるという判断は危険です。それは、その一時点での姿です。経営者の使命はあくまでも100年続く会社に育てることです。この書籍の主人公は、本当にどこにでもいる経営者です。そして、どこにでもある失敗例です。しかし、残念ながら、いまだにこの主人公の考え方を正と考える経営者が多くいます。財務(決算書)を一番に考える経営をする限り、窮地に陥いる可能性は限りなく低くなります。