最近の税理士事務所(会計事務所)の増減から見る市場動向 | 大阪市の創業支援ならコンフロント税理士法人(大阪市北区)(旧衣笠・いまい合同税理士事務所)
近年、税理士業界にとっては厳しい世の中と言われています。それはなぜでしょうか。専門的な業界の為、一般の方にはあまり馴染みがありませんよね。でも、中身を見ていくとおもしろい状況が見えるかもしれません。では、一緒に見ていきましょう。
現在の税理士業界事情とは?
税理士は「税」という、法人にとっても、個人にとっても深く関係する業務に携わるプロフェッショナルであり、これまで必要不可欠な存在として、安定した地位と役割を果たしていました。税理士資格を取れたらあとは安泰、というイメージを持っている方もいるかもしれません。
また、日本企業の国際化、会計税務の法令の複雑化、相続税を始めとした個人資産についての環境変化に伴い、税理士に対するニーズは多様化していっています。
さらに、よりレベルの高い業務対応を求められる機会も増え、ますます税理士の存在感が大きくなってきているようです。
そんな中、税理士業界全体に大きな変化が生じています。
ハイレベルな業務を対応している税理士が増えている一方で、記帳代行をはじめとした中小・零細企業の対応を主な業務としている税理士との実務内容の二極化が進んでいることも、無視出来ない事実です。もちそん、その業務スキルの差は大きいものとなっています。
さらに、地方事務所を中心とした税理士の高齢化や、後継者不在の地方事務所の増加が社会問題となっています。そもそも、税理士業界自体が高齢化しており、平均年齢は65歳程度と言われています。
地方には、老舗の歴史ある中小企業が多数存在しますが、それと足並みを揃えて成長してきたのが、現在、地方で活躍されている高齢の税理士の方々です。
そもそも、以前は会計の記帳が出来ることそのものに価値がありました。そのため、その代行業務をしてきた会計事務所は地方企業の優良なパートナーとして、その存在感を出すことができたのです。
しかし、その顧問先企業も徐々に力を失ってしまい、倒産したり、後継者不在で廃業をしたりすることも増えていきます。さらにはパソコンや会計ソフトのAI普及で自計化が進んだことで、記帳代行の価値も薄れていき、地方の会計事務所全体が勢いを失ってきていると言われているのです。
一方で、東京をはじめとした都心部では、大手企業を中心に順調な成長を続ける企業も多数存在しています。その要望に応えるべく、顧問の会計事務所もその業務レベルを磨きつつ、共に成長していっているのです。新規ビジネスを発案するベンチャー企業・スタートアップ企業も多く、そのスピード感や多様性に、会計事務所も応えるべく奮闘しています。
また、都心部では会計事務所の数も密集しているため、申告の単なる代行業では成り立ちません。より付加価値の高い、他の事務所との差別化ができるサービスの提供ができる会計事務所でなければ、働く人にとっても依頼元の企業にとっても魅力がないのです。
このように、地方は企業と顧問会計事務所の両方が高齢化し衰退傾向にあり、都心部では逆に企業と顧問会計事務所の飛躍的に成長しているのです。
このままでは、地方企業と地方事務所が危うい状況に陥りかねないのですが、そこに注目した大手会計事務所はある行動に出ました。
それは、地方事務所の買収です。
高齢化した事務所や、後継者不在の事務所を中心に、都心部の事務所が地方進出・買収をはじめたのです。
実際にその成功事例も出始めており、地方事務所の生き残り方の一つとして注目を集めています。
しかしもちろん、事務所を買収されることを好まない、自分の事務所を守りたい税理士もいます。そんな税理士は、自分の後継者となり得る人材の採用活動に注力をしているようですが、なかなか厳しいのが現状のようです。
税理士業界にとって厳しい世の中である理由とは??
その理由は大きく2つあります。
<①税理士の競争の激化。大阪・東京で集中的に増加している>
税理士試験合格者が増えていて、需要と共有のバランスが悪くなってきています。さらにその増えた税理士の3分の2は東京と大阪に集中しており、いくら企業が多いといっても増加しすぎです。
税理士だけではなく、税理士業務を行うことができる公認会計士も増加中であることも、影響しています。
<②取引先が減少…税理士事務所の売上も減少…>
平成3年の統計を境に、会社の廃業率が開業率を上回るようになりました。
会社の数が減るということは、その会社をお客様としているに税理士事務所の売上も減ってしまうわけです。また開業が少ないということは、新規のお客様の獲得も難しくなっていきます。
会社の総数は減るのに、税理士の合格者が増えるとなると、競争も相まって売上の減少につながるのです。
最後に
少子高齢化の影響が税理士業界にも出てきているようです。
また、どの業界でも差別化を図るために、他社よりも素晴らしい・付加価値のあるサービスが必要になるということですね。AIも進む次世代ですが、人と人ならではのサービスを活かして、乗り越えていかなければならないようです。
さらには、マーケティングや営業のスキルも磨いていく必要があるかもしれません。