所得拡大促進税制(中小企業向け)の改正について | 大阪市の創業支援ならコンフロント税理士法人(大阪市北区)(旧衣笠・いまい合同税理士事務所)

所得拡大促進税制(中小企業向け)の改正について

 

中小企業向けの所得拡大促進税制は、積極的な賃上げに取り組む企業を応援するための制度です。この制度が、平成30年度に改正となりました。その改正内容についてご紹介します。

 

 

所得拡大促進税制とは?

「所得拡大促進税制」は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。

(引用:「中小企業庁」)

 

所得拡大促進税制における中小企業の定義

この税制については、中小企業基本法及び中小企業経営強化法における定義とは異なっています。

ここでいう中小企業とは、以下の全てを満たしている必要があります。

 

・資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人

・その発行済株式又は出資の総数又は総額の一定割合(※1)以上を大規模法人(※2)に所有されていない法人

※1 1 つの法人により50%又は複数の法人合計で 3 分の 2

※2 資本金の額が1億円超の法人、その他一定の法人

・資本若しくは出資を有しない法人又は個人で、常時使用する従業員の数が1,000人以下のもの

 

また、平成 31 年 4月 1 日以降に開始する事業年度では、

その事業年度開始の日前 3 年以内に終了した各事業年度(基準年度)の所得の金額の年平均が15 億円を超える法人は、この中小企業者等から除外されます。

(参考:「中小企業庁 中小企業向け所得拡大促進税制 よくあるご質問Q&A集」)

 

 

平成30年度所得拡大促進税制の改正点

 

所得拡大促進税制が拡充され、さらに3年間延長されることになりました。

 

<改正ポイント①基準年度(平成24年度)からの増加要件を撤廃>

これまでは、給与総額が基準年度(平成 24年度)比で3%以上増加していることが適用の要件でしたが、これが撤廃されました。

 

<改正ポイント②税額控除率を拡充>

 

これまでは、給与総額の基準年度(平成 24年度)からの増加額に対して、10%の税額控除でしたが、給与総額の前年度からの増加額に対して15%の税額控除に拡充されました。

 

<改正ポイント③人材投資や生産性向上に取り組む企業はさらに支援>

継続雇用者給与等支給額が対前年度比で2.5%以上増加しており、人材投資(新たなスキル獲得のための研修等)や生産性向上に取り組む場合には、 給与総額の前年度からの増加額に対して、10%上乗せの25%税額控除されることになりました。

継続雇用者給与等支給額の増加率が 前事業年度比で1.5 %以上2.5 %未満の場合は、前事業年度からの給与総額の増加分の15%税額が控除されます。

なお、通常要件、上乗せ要件ともに、税額控除額はその事業年度の調整前の法人税額又は所得税額の20%が上限となっています。

 

<改正ポイント④「継続雇用者」の定義を見直し>

改正後の定義は以下の通りです。

① 前事業年度及び適用年度の全ての月分の給与等の支給を受けた国内雇用者である

② 前事業年度及び適用年度の全ての期間において雇用保険の一般被保険者である

③ 前事業年度及び適用年度の全てまたは一部の期間において高齢者雇用安定法に定める継続雇用制度の対象となっていない

(引用:中小企業向け所得拡大促進税制 よくあるご質問 Q&A集

 

これまで2期中のすべての期間において該当する必要ありませんでしたが、改正後はすべての期間において該当する必要があります。

これに伴い、継続雇用者の判定が容易になり、計算方法も簡素化されました。

 

 

最後に

 

改正により、これまで煩雑であった判定手続きが、「継続雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加すれば適用される」というシンプルなものになりました。

より使いやすくなったと言える所得拡大促進税制の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 


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